神八井耳命を祀る多神社
神武天皇の皇子も祀られているという多神社を参拝してきました。
太陽の道のライン上に位置する多神社。田原本町多に鎮座する延喜式内大社の参詣案内です。
多神社の狛犬。
古事記の編纂で知られる太安万侶を祀る神社として有名ですが、神武天皇やその皇子に当たる神八井耳命(かむやいみみのみこと)が祀られていることはあまり知られていないかもしれませんね。
カムヤイミミノミコトとはあまり聞き慣れない名前ですが、初代神武天皇の皇子に相当する人物です。
多神社の本殿。
四殿配祀の形式をとっていますが、この内の二つが神武天皇と神八井耳命を祀っています。
親子で合祀されているわけですね。
本殿の裏側にも回ることができます。本殿を後方から撮影。
本殿の後方エリアは神武塚とも呼ばれ、古代の祭祀遺跡が眠っています。
手水舎の向こう側に拝殿が見えます。
神武天皇の後の代・・・皇位継承に当たっては一悶着があったようですが、最終的には神八井耳命ではなく、その弟が皇位を継承することになります。
神武天皇の後釜を狙う敵との争いの中で、怖気づいてしまい、最後の止めを刺すことの出来なかった神八井耳命。そのことを恥じた彼は、勇敢に止めを刺した弟に皇位を譲ることになります。
多神社拝殿。
弟に皇位を譲って ”身を退いた”から、ミシリツヒコと呼ばれるようになったという言い伝えがあります。
そう、多神社の正式社名は「多坐弥志理都比古神社」(おおにいます みしりつひこ じんじゃ)。神社の名前にも出ているように、多神社は元来、弥志理都比古・・・つまり神八井耳命を祀る神社なのです。
中街道(下ツ道)に面して一の鳥居が立っています。
心優しい神様なのかもしれませんね。
一の鳥居から東方向を望めば、大和の神奈備”三輪山”がそびえています。
拝殿の蛙股と懸魚。
寺社建築の粋が集められています。
珍しいデザインの懸魚ですね。
くり抜かれた穴の形に興味深いものを感じます。
2012年の今年は、古事記成立から1300年目を迎えています。大和郡山市の売太神社と共に、ここ多神社も熱い注目を集めることになるのではないでしょうか。