太子堂横の二面石
橘寺の二面石をご案内致します。
聖徳太子生誕の地と伝えられる橘寺。
その本堂の横に、二面石といわれる石があります。
飛鳥時代の石造物のひとつで、太子堂(本堂)向かって左横に佇みます。
飛鳥エリアには石舞台古墳、猿石、マラ石、亀石、酒船石、鬼の雪隠・俎古墳などのミステリアスな石造物がたくさん散在します。
二面石も実に不思議です。
こちらが善の顔。
二面石には、善悪二つの顔が背中合わせに彫られています。
こちらは悪の顔。
人の心の善悪二相・・・。
お顔の面積からいって、こちらの悪の顔の方が狭いような気がします。
太子堂。
橘寺の本堂です。
橘寺のご本尊である聖徳太子坐像が安置されています。
聖徳太子坐像は室町時代の傑作で、太子35歳のときのお姿とされます。
お堂の一番奥に鎮座しておられました。
二面石のガイド。
向かって右側(太子堂側)が善面で、左側(放生池側)が悪面です。
以和成貴。
聖徳太子の有名なお言葉ですね。
世間虚仮、唯仏是真。
これもまた太子を象徴する名文句です。
色は匂へど散りぬるを(いろはにほへとちりぬるを)・・・万物は移ろいゆくものです。とてもはかない、どこか悲しい性(さが)を内包しています。
ただ仏のみが真実である。
栄枯盛衰の世の中にあって、善をも悪をも超えたところにある何か確かなモノ。
そんな何かを求めた求道の跡が、この二面石には秘められているような気がしてなりません。
本当のところは何も分かりません。
色々な想像を掻き立ててくれる飛鳥の不思議な石造物たち。
橘寺境内にある親鸞聖人像。
聖徳太子を讃える賛歌も残しています。
善悪を超えたところにある何か。
頭の中を色々な想像が駆け巡ります。
橘寺を訪れてみて、観光地としての飛鳥の人気を改めて垣間見るような気が致します。
当館大正楼から橘寺へはお車で15分余り。
橘寺には、参拝者の方に限り無料駐車場もございます。拝観料は350円です。